化石の回路を検証する


  これは何も知らないで私が作ったアンプです。無帰還一段増幅アンプという
今では化石化した回路です。



  案の定0.1Wにいっていません。



  ノイズ特性も悪いようです。

  が音を聴いてみると繊細でさわやかな音であるといえます。なんとか実用レベル
に持ってゆけないでしょうか。



  問題点としてまず思い浮かぶのは、ドライバー段が無いため、初段電圧増幅段
の電流が引きこまれて歪むことですが、よく考えてみるとD633、B673はダーリン
トントランジスタです。

  次ぎに怪しいのはC1775のコレクタ特性でしょう。まず特性図を探して負荷線を
引いてみます。



  青線の部分がドライブ信号の動く範囲ですから、かなり効率がよくない
ようです。

  

  これはC959の特性図ですが、非常に良好です。




  結局改良した点は、

 1  C1775AをC959に変更。

 2 終段エミッタ抵抗を0.22Ωにする。

 3 アイドリングを調整可能にする。

  となりました。念のため上下のクリッピングポイントを見ると、



  となっており下側が先に歪むので、初段電流を減らす方に調整しました。
(ベース抵抗3.3K->2.2k)



  クリップ直前はこのような波形になります。(これでほぼ同時にクリップする。)



  出力も約2Wはとれています。

  周波数特性


  このようなノイズ特性ですが、簡潔さが身上ゆえこのままで聴きます。
このアンプは電圧転写思想の半導体版と言えます。



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