電圧増幅段の詳細設計

  今回電圧増幅アンプの歪み率が測れるようになったので、いろいろ
やってみました。

  これが測定ツールです。

 左が電圧増幅段用、右が出力段用



  まずこのような差動アンプを調べてみます。素子は接着されていてK30ATMなのか
K117なのか、K170なのか不明ですが、gmを調べればだいたいわかります。

  正常に作動していることを確認後、1kHz正弦波で、0.282V入力時、出力が
0.305Vでした(いずれも実効値)。

   負荷抵抗は1kΩなので、ドレイン電流は0.305mAですから、
      
    gm=僮/僞=0.325mA/0.282V(近似)
            =1.15mS

   となりますから素子1個あたりのgmは2.3mSとなり、これはK30ATMであると推定
されます。このようにほとんどゲインのない初段回路は、かつての金田式の特徴です。



  無帰還回路ですから、このような天然歪みが得られています。実は私は
この天然歪みが好きで、珍重しているのですが、プリでは無歪みアンプの方が
無難でしょう。(この歪みは音楽再生に重要であり、CDによって失われた倍音
成分を取り戻す最終兵器であるとも言えます。)

  0.3V出力のときの波形とスペクトルです。

  周波数特性


  このように2次、3次の高調波歪みと電源由来のかなり大きいノイズを伴いますが、
これが巧妙な回路テクニックとNFBにより素晴らしい特性のフラットアンプに仕上がる
のです。


  このように2段無帰還アンプにしてみました。




  このような特性です。このように低歪みになるとは、意外でした。


  バッファ段をつけてみました







  歪率が改善しました。


ODNFプリアンプへ、つづく

目次に戻る