続 化石の回路を検証する   



  前回のC959を採用したこのアンプはハムがひどいものでしたが、今回設計
をやりなおし素晴らしいものができそうなので、組みなおしてみました。

  シミュレーションノート参照

  
反転一段式パワーアンプ

  実際の回路はこのようになります。


  帰還を十分かけられるので、増幅段素子の肩特性にそれほどこだわらなくても
良いのです。さすがにゼロバイアスで使うのはやめておきました。




  音を聴いてみるとハムはほとんどなくなっています。音質上懸念される部分は
出力コンデンサーだけと言って良いので、ものすごくまともな音がしています。

  なおバイアス回路にいれるCはシミュレーションの結果、いれなくて良い
ことが示唆されたので無しにしました。

  K117が2本で作られるこのアンプはK117が4本で作られた完全アンプの
弟分といえるでしょう。

  素朴なアンプシリーズでは歴代最高の特性をもつはずです。




  直線性は無帰還のときにくらべ雲泥の差です。




  ノイズも大変すくなくなっています。








  このアンプを聴けば電解コンデンサーのもたらす音について理解する
ことができます。

  しゃりしゃりし、細かい音がつぶれ、もやもや感がつきまとうように感じます。
一方DCアンプではそのような個性音はなく出力素子のキャラクターが前面に
でてきます。

  音質劣化の大きい要素から順に取り除いてゆけば、より小さいもののキャラ
クターが顔をだすという仕組みになっています。出力素子は取り除くことはできま
せんから、より好ましいものが出れば取って代わることになるでしょうが、優秀な
素子がひととおり出尽くしている状況であるとも言えます。



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