Kenwood KA5010の回路を解析する




  KA7300Dも3段差動アンプとなかなかのポテンシャルを見せてくれましたが、
このアンプも全段カスコード、松下のHi ft トランジスタ群が圧巻です。勿論終段
LAPTが主役だと思いますが、銅箔スチコンなども使われており、ハイスピード、透明
という製品の印象そのままの回路です。


  このとおりの松下の石は無い様ですが、150MHzくらいの石ならまだ入手できる
ようです。銅箔スチコンも買い置きがあります。LAPTは今でもマランツの高級アンプ
に使われているようです。



  KA7300D組みなおしアンプは、プリがPRA−2000ZRだし、電源はGS−IV、
ショットキバリアダイオード整流なこともあって、やはり情報量はこれまでで最高のもの
です。

  当時聴いていたアシュケナージのショパンを聴くと、実に奥深い音がして、音楽が
厳粛さを帯びてきます。

  メインシステムは当分これで行くので、K405アンプの方はFE103サブシステム
の方に回りました。

 もともとFE103はMOSの情報量の多い音と相性が良いので、これが本来の使い方
かもしれません。音のさらさら度は比類がないほどで、音の粘性をなにかに例えるなら、
グリース、サラダオイル、シリコンオイルといろいろありますが、感覚的にCRC556の
印象です。

  LAPTなどのエピタキシャルアンプでは、これらの中間の音が得られると思います。

  ですから作るのをそんなにあせる必要はないのです。

 


  バイポーラアンプを聴いた後にFETアンプを聴くと、その超微粒子感に驚かされます。

  私はよくこう喩えるのですが、


  バイポーラアンプは人間の音、FETアンプは神の領域


  とはいえFETアンプも買えば単なる商品。あまり深い意味は無いので気にしないでください。

  このホームページのタイトルが自作FETアンプとあるのは、そういうことを意識している
のは確かですが、バイポーラを否定しているわけではないので両方作っては楽しんでいる
のです。



  さてそれではエピタキシャルと三重拡散とでは特性がどう違うのかを見ておきましょう。

    C2921  エピタキシャル   Ic=15A  Pc=150W
    C4468  三重拡散      Ic=10A  Pc=100W

   若干クラスが違いますが、東芝の同クラスのものにはftのデータが載っていないため
致し方ありません。






  データ表ではそれぞれ図表のスケールが違うのでこのように同一スケールで
プロットして見ました。動作点付近ではftはそれほど開きはないようですが。

  伝達特性はC2921の直線性の良さがわかります。C4468はクラスが下です
が、同クラスのC5359でも10Aくらいから線が寝てきますから、やはり同傾向で
あると言えます。

  こういう石を3段ダーリントンで使えばMOSに近い動作が期待できそうです。


 

 




  NEC、松下、サンケンのトランジスタ、それに銅箔スチコンが揃いました。もうこうなったら
作るしかないですが、あわてて作らないようにします。なぜならKA7300Dの音があまりにも
良いためいつまででも聴いていたいからです。


  木製筐体の進化



  いろいろ試して検討しましたが、上面は面一、横は少しはみでる方が格好良いようです。




  製作中


 



  定数決定は、Pspiceで行いましたが、長くなるので
別ページに移動しました。






  全部品のhFEを測定しペア組みをしました。適当にやるとバラツキのため、差動2段目で片方がカットオフ
します。バランス調整なしでは最終的に3Vほどオフセットがでたので、調整回路を入れました。

  セラミックCの入ったKA7300Dは、一種麻薬のような聴きだすとやめられない効果を持つようですが、
これだと素直な音質になる気がします。






  製作中

  これは大変です。いろいろ試しても発振が止まる気配すらありません。


  Circuit maker student版のほうで書いてみました。

  出力はさほど大きくないので、2段ダーリントンに変更しています。





   発振が止まる補正をシミュレーター上でしばらく追求することになります。

  帰還前のグラフのQがなるべく小さいように、帰還後にしゃくれが出ないように試行錯誤で調べて
いますが、ゲイン交点の問題、2段肩の取り扱い方などわからないことがまだだくさんあります。


  比較的うまくいった設定で、各補正の効果について見ます。

























   ご注意

     この回路は難易度が高く、完成しないかもしれないので、もし作られる方がいれば、

     YAMAHA A−5を基にワイドラー式アンプを作る

      の方をお勧めいたします。


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