続LM380革命

  今回何をするのかというと、これをみていただくと理解しやすいかと思いますが、





  巨大なLM380を作ってみようという試みです。


  この回路は何度かシミュレートしたことがあったが、実は小信号でしか動作させられない。8Ω負荷では振幅がとれないのである。

  今回原因追求を試みたがやはり動作してくれない。

<解説>
  初段は極小コレクタ電圧で動作する差動回路である。トランジスタはコレクタ電圧が0.6Vもあれば動作するのでこれでも回路が成り立つのである。

  内部NFBを可能にする為に初段エミッタに電流帰還している。そのため帰還部位に1kΩを設けてあり、このせいで初段ゲインがとても小さくなっている。

 2段目定電流は初段テール電流のカレントミラーなのでとても少ない。上下のトランジスタの電流バランスがとれているかは疑問である。

  終段のバイアスはスイッチングダイオード2個をパレットに一体化する方法で温度補償している。終段は準コンプリメンタリーでNPNを1個省略したものとなっている。

  これらは単独では動作するが全部つなげると段間で電流が移動するは発振するはで手がつけられない状態となる。

  今回は諦めて、オリジナル回路でゆくことにする。


  反転一段増幅アンプに標準的な準コンプリメンタリー出力回路をつけたものである。




  いとも簡単に動作する。


  周波数特性


  一段アンプなので主要なポールは1つ。FETの周波数特性が良いので、可聴帯域で20dB弱のNFBがかかっている。積分器ではなく増幅器なので必要十分な性能と素直な音質が期待できる。






  gmはほぼK117と同じクラスである。


   K117BLをIDSSで選別してペアを作る(選別法は省略)。

   IDSS=7.2mAのペアに対し、ドレイン電流が3.5mAになるソース抵抗値を実測で求める。



   58Ωとでたので、上側R=47Ω下側VR=1kΩとした。組んでから中点電位が9Vとなるように
VRを調整しておく。

  これでソース接地増幅段ができたので、サイン波が通ることをWavespektraで確認し、ついでに
ゲインを調べておく。ゲインは約50倍。


  電圧増幅段



  ここまで作っていろいろ調べておく。



  歪率測定前に1kで上下のクリップレベルを合わせておく必要がある。





  とてもうまくいっている。


  準コンプリメンタリー回路





  音はもう聴いている。抽出法で特徴を聴いているので楽曲を聴いているのでもない、スピーカーを
聴いているのでもないアンプの音を抽象的に聴いているという行為なのである。これができない人は、
同時切り替え耳コピーでしか音の違いを判断できないので少々つらいと思う。

  まず比較的ずしんとくる力感があり、素直さと静けさがあり、ゆらぎが感じられ、抜けのよさもあり、
櫛を通して見ている感じがあり完全に透明とはいえない。いままで聴いたことのない音である。

  切れ味は素晴らしい。ただししばらく聴いているともやもやとしてくるのがわかる。ケミコンを信号経路
に入れるとたいていこうなるように思う。


  2ch分作って組みこんでから電源を入れると電源が壊れてしまった。
調整する間もなく壊れてしまったので、深刻である。この回路では中点を
保持する機構がないので危険かもしれない。
  
  検討した結果このような回路になった。これなら少々ずれていても何てことは
無い。相当退化してしまったが、純コンプリにしたところで危険度は同じなのである。