ディスクリートの森ZONE 3

  深い森の中で、いままでに見たことのないようなオペアンプを見つけた。ヘッドホンを直結して
聴いてみると信じられないような深い音で音楽が鳴った。





  


  SIT オペアンプ







  一聴して頂点に立つ音とわかる。柔らかさ、浸透力、音色の輝かしさ、音場感の広がり。技術的に何も
特殊なことはしていないのにもかかわらず。


ディスクリートの森ZONE 4




  ここではZDRにおいていろいろなバッファを試すことができる。

  なんとレプリカバッファがすんなり動作した。絹のようななめらかさ。こういう音は聴いたことが無い。


C4408 A1680 ZDRを魔改造
  
  入るスペースがあるので改造しておく。



   昨日気づいたのだが、計装アンプを使えばZDRは一発でできてしまう。




  少々込み入っているが致し方ない。あとは試してみて発振しないかどうかである。


  山田太一著 岸辺のアルバム(1977)

  この小説が何であるかは著者自身による企画メモにより明らかになっている。それをさらにかいつまんで
言うと、「高度経済成長時代のあるサラリーマン家庭をやや非凡な見方で描写したもの」となるだろう。
  
  姉が英文学科の大学生、弟が受験生でめいっぱい頑張っても一流私大という成績レベル。父親が大手
企業の部長職で過労死寸前で、一家は多摩川べりのローンの終わった一戸建てに住んでいるという設定。

  物語は妻則子にかかってくる迷惑電話からスタートする。4人とも前向きなようで少しずつ精神を病んで
いるようであり、悪意の第三者も登場するがあまり強力なものでもない。

  最後は長男の繁が全部ぶちまけて一家は大混乱に陥るが謙作には対処するすべはない。

  これに対する山田太一の処方箋を文面から読み取ると、こうなったものは仕方がない、一から出直すしか
ない。子供は思うようには育ってくれなかったが彼らの人生である。距離を置いて静観しよう、ということになる
だろうか。

  自分ならどうするだろうか。@妻の浮気A会社からリストラB娘が中絶C息子が高卒

  @は環境というより本人の資質が大きいと思うが、不倫が嫌いなもの同士で結婚しておけばいいような気が
するが駄目だろうか。A専門職に就いて生き延びてゆくくらいしか方策は思い浮かばない。B今は事後避妊薬が
あるがどうだろうか。C有無を言わせず塾に通わせておくべきだっただろう。


  今年の初めごろ映画ウッドストックを観て外国のバンドはリズムセクションがいいなあと思った。それからは
サウンドが良ければなんでも聴いてられるようになった。(サウンドというのは音質ではなくバンドの音作りですね。)

  Dream theater   Image and words  重厚なイントロが二分続く。そこが聴きどころなのだろう。ボーカルが登場し、
楽曲が明らかになる。ある程度複雑でメロディーもきれいなのだがポリスのような音楽的な仕掛けもないし、特別に
美しいメロディーも出てこない。聴いてはいられるけどやはり面白くはない。

  チックコリア  Now he sings now he sobs

  名盤なのでレコード店で買えた。これ聴いているとReturn to foreverのような曲が一曲出てくるのが
わかる。いわゆるスパニッシュジャズですね。そのほかの曲も舌を巻くほどピアノがうまい。これは何度もくりかえして
聴いても結構楽しい。

   この頃の音楽は世界をあっと言わせようと言うくらいの意気込みで作られている。


  映画  いまを生きる

  アイビー8大学への進学率が75%という全寮制進学校のお話。ヘルマンヘッセの車輪の下の映画が
無かったので、これはちょうど同じような話だなと思って観た。

   教養として英語の詩に重きが置かれている事情を知ることができた。ストーリーはまあそんなものかなという感じ。


  辺境萌え  NHK BS 極寒シベリア

  レナ川は毎冬凍結するが、氷が解ける時割れた氷が川をあふれだし周りをなぎ倒すことになる。これでは
護岸設備を作っても毎年壊れることになる。レナ川に橋が一本もないというのもショッキングな事実だ。凍った
ときはそのまま渡り、解けた時はフェリーで渡る。

  灌漑設備を作り麦を栽培するなどということは永遠に不可能な場所だ。


   最近LT1010の回路図を見て気づいたのだがこれはエミッタ抵抗レスのバッファーだ。音を聴いてみると
上條氏のレプリカバッファーや完全アンプのような目の細かい音がしていることがわかった。

    LT1010 Buffer を使う

  作った時はBUF634と比べただけだったのでそこまでわからなかったのだ。同族のものがいくつかあると
違いがよくわかる。

  ZDRの音を聴いてみる。



  これはとてもいい音だと思う。レプリカバッファを組まなくてもこれだけで同等の音が聴ける。

  LT1010専用基板


  ディスクリートの森を抜けて石の国に至った気分だ。


   人間は何を食べてきたか  NHKスペシャル

  乾燥地で人の集団が生きてゆくのには野生の羊を飼って乏しい草をミルクに変換しつつ、保存食である
チーズを作ったりしてゆくしかない。これは唯一の解のようなものだ。西アジアで生まれたこの方法はヨーロッパ
からモンゴル高原までの領域で人間が生活するための基本になっている。だから彼らは羊の肉を食べチーズを
作るのだ。大集団として生きてゆくためには麦の力を借りなければならない。インカ帝国が一夜にして滅んだのも
高地の斜面で栽培できるジャガイモで生きていたからだとも言える。
  
  一神教の生まれた西アジアで神とされるものは何故か羊ではない。神は天地と人間と動物を造ったものと規定
されている。


   映画 ショーシャンクの空に

  スティーブンキングの本をもとにしたこの映画は期待にたがわず面白かった。細部にリアリティが
あるし伏線や大逆転もある。日本映画にはない物語の作り込みというものである。

  それらを堪能したが違和感もいくつか感じた。主人公がこういう宿命にはまった理由は油断があった
からだという。そう、熟慮すれば避けられる宿命があるのだ。気になるのは宿命から脱出するのにコツコツと
人を欺く方法を用いたという点だ。聖書の言葉を引用して正当化しているのだが本当にそれでいいのだろうか。
いいのかもしれない。もう一つ気になるのは主人公が大金を手にしてメキシコで第二の人生を送るという
結末のことだ。さらに高い賭け金で宿命を背負ってはいないだろうか(脱走罪、詐欺罪、不法入国罪)。


ディスクリートの森 ZONE 5

  ZDR ICの新しいピン配置。これだとわずかな改変で計装アンプICを挿して使うことができる。
いまのところ使えるICは見つかっていないが。

  

  ZONE 5ではZDRとNFBの世界がつながってしまった。



  これが反転NFB回路として動作する。


    ZDR             BUF634
    反転NFB          LT1010
                    ダイアモンドバッファ
                    カレントミラーバッファ
                    上條式ノンスイッチングバッファ
                    Vishay MOS FETバッファ

   このプラットフォームで12通り以上の組み合わせが楽しめる。本命はZDR+上條式バッファだが他のでも相当に
良い音がするだろう。


  Differential amplifier INA2133を用いたZDR回路



  こうして見るとZDRは微妙に対称性がある。

 


   ロジックIC 74HCU04を用いたZDR回路

  ロジックで歪が無かったことになると言うのも不思議ではある。

  おまえは反転して(さらに2回反転してBになっておく)バッファに入り出口で歪んでいるが再び反転して
Bと合体して2回反転してもう一度最初の反転したおまえと合体してバッファに入る。するとおまえの歪は消え
ている。

  現実世界でも使えそうだが合体がネックになるだろう。


  シミュレーターで確認



  完全な直線化




  C−MOS論理IC 74HCU04を使った秋月のヘッドホンアンプキット





  なるほどMOS−FETの音であるし、ソース抵抗のない肌理の細かさも有しており
ノイズレベルが見たこと無いくらい低い。小音量ならハイエンドクラスのアンプに匹敵
するだろう。


   ZDRも反転バッファならここまでシンプルになる。








  74HCU04で組めるだろうか。


  三島由紀夫  三熊野詣

  国文学者、作家である藤宮先生に仕える弟子である常子から見る光景だが、旅の情景描写が
素晴らしすぎる。日本文学の最高峰だろう。心理描写も神経が行き届いている。

  人生に対する驚くべき考察もある。

(つづく)