2013年の音楽生活3

   私の音楽生活は崩壊してますがみなさんはいかがでしょうか?

  とはいえ今年の始めに集中してニルバーナを聴いてからは、音楽がすんなり入ってくるようになった。
一種の修行の様なものかもしれない。チャーリー・パーカー、パド・パウエルがよくわかるようになった。
特にパド・パウエルのウン・ポーコ・ロコは斬新で格好いいサウンドだ。ネットでもそういう意見を見掛ける。

  ビル・エバンスのピアノソロも再び聴いてみた。和声の崩し方がきついのでどうも慣れることができない。
ハービー・ハンコックくらいの崩しかたがリリカルで心地良いように思うのだが。

  今年の正月に節電用だった山水のプリメインからセパレートアンプに変更したのだが、これで吹奏楽
を聴いてみると驚くほどよかった。さすが長岡式だ。

  いろんなアーチストが晩節を穢しているしクラシックの世界のなあなあさも漏れ聞くようになり音楽業界
には幻滅しているのである。

  参考ディスク

  Nirvana "Never Mind"

  Charley Parker Story on Dial Vol.1

  Amazing Bud Powell 1

  Bill Evans "Alone"

  岩井直溥  初期作品集


  沙羅が咲き始めた。もうすぐ夏だ。



  映画 誰も知らない

  実話を元にしたドキュメンタリータッチの映画だがかなり脚色がなされていて凄惨さは減じられて
いる。自立できていないが故に未成年者に起こったトラブルはやはり深刻である。本人たちによる解決
は望み難いため第三者による介入が要るのだが、これはそれを巧妙に逃れたケースである。
  
  育児放棄の増加の元は女性解放にあると思うのだがこのことは論じられることはない。いまさら
元にもどれなどとは言えないからである。

  女性の本能の一つに安全な所で子育てしたいというのがある。だからそれを満たしてくれそうな
相手を選ぶのというのが女性の本来の資質であるのだが、このケースはそれに失敗しただけなのか
本能の壊れた女なのか検討が必要だろう。

  映像は心に残るものがある。今日マツキヨに行った時アポロチョコを買ってきた。


   今日から真空管アンプにした。エアコンが必要になるまでの短い間だけだが。
真空管アンプ用のスピーカーは2つある。パイオニアのS-ST7と自作2ウェイだ。
フルレンジとの相性はあまり良くない。

  Kenwood KT-6040Kenwood CR-A7-USBS→USBメモリー→Andoroid tablet→

  6BQ5シングルアンプ→Pioneer S-ST7

  こういうラインでFM放送を楽しんでいる。老舗番組であるNHKの現代の音楽が改変によって早朝に
回されたのだがこのシステムのおかげで被害は無い。USBメモリを直挿しできるAndoroid tabletというの
が重要ポイントだ。


  FREECELLの現況

  目標は32000に到達することだがもしかするとあと10年はかかりそうだ。





「心配するな この世で起きた事はこの世で収まる 時期をまて」

  「半径10m日記」というブログで見つけた言葉だ。お寺の門口に書かれていたとある。大阪には知恵者
が多い。

  これを見た人は確かにそうかもと思ってあの世に行くことを踏みとどまるかもしれない。


  曽野綾子著  善人は、なぜまわりの人を不幸にするのか 救心録

  善行バスターの書といえるこの本にはこういう記述があった。

  悪評に馴れておけば、少々の悪口に深く傷つくなどということもない。時々まじめ一方の人が、部下の
犯した失策などまで気に病んで、突然飛び込み自殺などしてしまうことがあるが、それは若い時から人生の
生き方の作戦を誤ったのである。

  この突き放したような感覚は大阪とはだいぶ違う。


  太陽に灼かれて

  露仏合作映画。内戦に勝利しスターリンが天下を取った頃の話。終わりまで観ると実話らしいとわかる。大佐
もマーシャも人物としては大変有能で感心させられる。それが潰し合うのであるからやはりロシアの風土なの
だなと思う。ソ連はこのあとドイツに辛勝し日本を叩き潰す。しばらくは発展を続けたが体制は崩壊し経済でも
遅れを取りつつある。ソルジェニーツィンの懸念した通りの道を進んでいる。


  林真理子著  野心のすすめ

  これは権力闘争をせよと言っている本ではない。高い目標に向かって死に物狂いで努力しなさい。
そうすればそこそこのところにはいけるから。あと強運がついてくるわよ。というようなことを言っている
のである。

  わりと真理をついているかもしれない。


  2013年夏お散歩用アンプ



  SITヘッドホンアンプ

  ゲインキャンセラー入り4580アンプ

  C2120 A950 ZDR

  74HCU04 シングルエンドアンプ

  SITヘッドホンアンプはうちのフラッグシップ機であり電池一個で動くので管理がしやすい。
この秋月のケースに収まるのは厚さの関係で以下の4種である。



   Ultra Fire 単4型 リチウムイオン 500mAh 3.7V LC10440

   ROWA JAPAN 006P型 リチウムイオン 500mAh 型番不明

   DLG 006P型 リチウムイオン 220mAh  型番不明

   GP 006P型 ニッケル水素 200mAh 20R8H

   最後のは千石電商で買えると思うが他のものは姿を消した。比較的薄型の006P
のものを探すしかないだろう。


ゲインキャンセラー入り4580アンプ



  これには出ていないが2次、4次、6次歪を含む変わった特性だ。奇数次歪がまったく無いとも言える。
音は不思議なことにSITヘッドホンアンプにそっくりだ。


DVD クインシー・ジョーンズ  Listen up

  インタビュー中心のプロモ的ビデオかと思って観ていたら、57歳バースデーまでの完璧な自伝に
仕上がっていてその内容には衝撃を受けた。母親から隔離された幼少期、シアトル大学、バークリー
音楽大学に通う日々、ツアー中の破産、A&Mの副社長時代、3度の離婚、9人の子供、脳動脈瘤の手術、
統合失調症の発病とwikiには書いてないことも次々と出てくる。

  スタッフへの挨拶で「健康でなければ愛する人を幸せにできないよ。」と気配りする常識人のようで
あり、一方その仕事ぶりは凄まじく、自身の家庭は不幸にしたが数多くの栄誉も獲得した。

  本人曰くあまり考えずにどんどん仕事をしたという事だが、この行動様式と周りに恵まれたことが
こういう人生を生み出したのだろう。

  クインシー・ジョーンズのハイセンスで緻密な音楽には敬意をいだいていたが、バック・オン・ザ・ブロック
には統合失調症のEssenceも少し入っていると考えると興味深い。

  この夏クインシーが日本に来るらしい。3公演が組まれている。日程を見ると行けそうにない。


ジャレド・ダイアモンド著 銃・病原菌・鉄  草思社文庫

  安全保障読本として活用すればいいのではないだろうか。

  チャタム諸島事件

  1835年11月19日 チャタム諸島に住むモリオリ族をマオリ族が襲撃し全滅させた。
モリオリ族は狩猟採集民でマオリ族はニュージーランド島に住む農耕民であった。

  安全保障の観点からこの事件を考えてみると面白い。どうしたらこのようなことが防止
できるか皆で考えてみるのだ。

  すぐ考え付くのは、

  1 武器の装備を同等にする。

  2 人口で上回る。

  3 全滅させられないように拠点を他に作っておく。

  この本を読んでゆくと諸悪の根元は農業・畜産であるとも読めるが。命をつないでゆく
ためのものが悪の始まりとなると悪とは何かということになってゆく。


   アメリカ略史(ほぼ銃・病原菌・鉄から)

  南北アメリカ大陸では猿から人への進化は起こらなかった。

  北シベリアに定住したモンゴロイド系住民がBC20000年頃地続きだったベーリング海峡を渡り、
アラスカ地方に住み着いた。BC12000年頃に氷河期が終わるとカナダ以南に進出し定住地を増やして
いった(BC11000年頃ニューメキシコ州クローヴィス式遺跡)。それから南アメリカ南端に達するのに
1000年はかからなかった。

  ユーラシア大陸とは15世紀まで文明が交流することはなかったのでBC20000年の時点での文明
水準から独自に発展するしかなかった。その結果文明としては青銅器文明にも到達せず、文字を持つ
事が出来たのはマヤ文明だけだった。

  土地は極めて広大で動植物の資源が豊富であることから、アメリカ住民が狩猟採集文明にとどまる
期間は長く農耕定住生活が始まったのはBC3500年頃だった。古代メソポタミア文明で農耕が始まった
BC8500年より前に彼らはやってきたので、小麦、大麦、豆、亜麻の栽培、灌漑農法、羊、牛、豚の飼育
という効率の良い方法を導入することなく発展せざるを得なかった。その結果作物はトウモロコシ、かぼちゃ
、インゲン豆、じゃがいも、キャッサバであり家畜はラマ、アルパカ、犬だった。
 
  アンデス地方に最終的にできた国家はインカ帝国だったがピサロの部隊にあっけなく滅ぼされた。
ユカタン半島にできたアステカ帝国もコルテスによって滅ぼされ今はメキシコシティになっている。北アメリカ
の各地にいた部族は交易によって得た馬や銃によりかなりの間抵抗を続けた。

  これらの人々はインディオと呼ばれヨーロッパからの移民に支配された.。一部殺戮を免れたものは
少数民族として現代に生きている。


  DVD  Prince Live At the Aladdin Las Vegas

  エルトン・ジョンのモスクワライブにも驚いたがこれにも感銘を受けた。ファンク、ジャズ、バラードの要素から成る
ステージだが1曲レッド・ゼッペリンのナンバーがあった。堂々たるハードロックのサウンドでプリンスの超絶ギター・ソロ
が聴ける。このあと念のためジミー・ペイジのも聴いてみたがジミー・ペイジ下手くそ説が確認できた。音が濁っている
し切れもないのだ。


  またもや西へ旅立った



  最近の車内Wifiにはロックがかかっていない。インターネットが使い放題だ。Windows 7 tablet持参だったが
カバンからだすのが面倒くさいのでiPod touchとKindle Paperwhiteで遊んでいた。

  夏は散策に不向きなのでポタアンの出番は無かった(完全アンプportable mini持参)。


   有島武郎  親子

  元横浜税関長である父が政府の補助を利用した投資で北海道に私有の農場を作って子に
引き継がせようとする話だが、小作人の監督、開発業者との緊張したやり取りが描かれている。
心理描写が凄い。映画で撮ったら細部がほとんど無くなるレベルである。

  子らが路頭に迷わないためにした親の行動だがかえって仇になってしまっている一例だ。


  DVD Stevie Wonder Making of Key of Life

  いろいろ謎が解けた上に人生の鍵がこれを見てわかった。あの赤ちゃんの声は産婦人科医が録音した他の
子の産声だった。それはともかく人生の鍵とは「大いなる空虚」のことだ。

  クインシージョーンズがインタビューで彼は神の媒体なのだと言う意味のことを言っている。自分で創作しようと
するアーティストと比べて桁違いのものがあふれ出てくる。そう考えざるを得ないのだ。この媒体が大いなる空虚に
相当する。

  有島武郎の「生まれ出ずる悩み」の中に、

  私の周囲には亡霊のような魂がひしめいて、紙の中に生まれ出ようと苦しみあせっているのをはっきりと感じた
事もあった。

  とある。これは媒体になろうとする瞬間だ。なかなかすんなりとはいかない。大いなる空虚を持つ人はそれが可能
なのだろう。いろいろなものを入れた普通の大人は全然駄目なので、修行によってそれに近づくしかないのだろう。

  ただし子供は若いというだけで大いなる空虚をもつのでそれを活かすことは良いが修行をさせてはいけない。


  ハイハットシンバルの鳴る音が機器によってだいぶ違うことに気づいた。

  Stevie Wonder "Key of Life" Knocks me off the ground

  このオーディオ的なトラックでシンバルの音を聴いてみると、

 @ iPod classic + PHA-1デジタル入力 + Apple 純正イヤホン    

    情報量が多く深みもあるのだがシンバルの音が少なく物足りない。ハイ落ちなのかもしれない。

 A iPod nano 第三世代 + SITヘッドホンアンプ + Apple 純正イヤホン

    シンバルの音が細くきれこんで余韻も多い。理想的な鳴り方をする。

 B iPod 30G + SITヘッドホンアンプ + Apple 純正イヤホン

   シンバルの音が鳴りすぎてうるさい。これはFiio E11あたりにつないでバスブーストを軽くかけるとちょうどよい感じに
  なる。

  スティービーワンダーはオーディオ的に鳴らすのがわりと難しい。


ドラマ 山田太一  よその歌 わたしの唄

  7月19日にオンエアされたのを観た。

  難解な感じもするが山田太一がファウストを書いてみたかったのだと考えるといろいろ仕掛けが見えてくる。
初老の元教授である渡瀬恒彦がファウスト。柄本明がメフィストフェレス。風貌を見るとわかるだろう。中越典子
が美少女のグレートヒェン、仲を裂きに来るのが伊藤麻実子、ヘレナがいしだあゆみ。こう見てゆくと大体の
骨格はある。最後の美しい瞬間が鳳蘭を偲ぶ会だがこのとき柄本明がにやりとする。元教授の死を意味する
のだろう。

   音楽をテーマにしたドラマだが選曲はベタなものが多いと思った。


   ゲーテ著  森鴎外訳  ファウスト

  意外にも読み進みやすい。深刻なテーマの割に脱力するようなユーモアがしばしば顔を出す。手塚治虫の
漫画に通ずるところがある。

   さて男が初老に達した時に問題なのは自分がファウストのようになっているかオマル・ハイヤームのように
なっているかだ。

   オマル・ハイヤームの場合残された時間、学問は捨てて酒に親しめば良いことになっている。私もこの
考えには賛同できる。

  ところがファウストの場合は虫の食った書物と実験器具に囲まれて死のうとする。やっぱり学問一筋の
人生は失敗だったのだ。

  高島俊男 「選ばなかった道」

  わたしの岐路は何度もあった。心を苦しめてやまぬのは、片方を選んでいれば家族と家庭をもつことが
できた岐路である。どこに住んでいるか、それは無論わからない。しかしわかされの道のさきでわたしは、
書斎にいる。おなじ家のなかに家族がいる。そのわたしに、現実のわたしの人生をつねに支配してきた臨時感
はない。わたしの気持はあかるく、わたしは自分のあゆんできた道に満足している。現実のわたしは、毎日、
この想像にさいなまれている。縁もゆかりもない皇后に、わたしは、自分を見た思いがしたのだった。


 これを読むと書斎があって愛する家族があるということが男の幸せなのだなと納得できる。

  そうしてファウストは悪魔の力を借りて失ったものを取り戻そうとするのである。今でもお金と名声のある人
はファウストの試みに挑もうとするが魔法のようには行かないだろう。


  万能の名機 C2120/A950 ZDR

   散歩の時は何も考えずこれを持って出れば間違いがない。

  @普通の録音の曲では情報量の多いきれいな音

  A超ハイファイ録音の曲ではもの凄い音

  Bビートルズのリマスター盤で楽器の音がはっきりたくさん聴こえバランスも良い

  とこんな感じになる。




  吉村作治著 僕が結婚をやめた理由 幸せになりたければ読みなさい

  「結婚しなければ幸せになる」ことを論証した本である。高島俊男とは対極に位置する考えである。

  大学の若い人に口で言うと長くなるので本に書いて示したものだろうと思う。

  反証となるケースは結構たくさんあると思うので論証は成り立っていないはずだが、幸せなケース
について実は幸せではないと論証してくるかもしれない。なかなかやっかいな論客だと思う。


   映画 ヒトラーの贋札

  ドイツ人の狡猾で非道で残虐な姿をお見せしましょうという映画。ユダヤ人の正義感や、人道主義的なところも
描かれているがこれは脚色だろう。ドイツ人も大概だが映画カチンの森を見るとソ連のほうがもっとひどいと思うし
ユダヤ人も非情さにかけては世界最高レベルと思われるわけでこの映画を見てなにかに肩入れするようには誘導さ
れなかった。


 真夏に咲く薔薇





(つづく)