2014年の音楽生活8

 ホームページの編集がiPadで出来ないかと考えたがGoogle Drive上の文書にするという手がある
ことに気づいた。リンクの埋め込みは出来そうにないが、写真+文なら大丈夫だ。



  iPad miniにキーボードをつけたもの。これはノートパソコンとして見るととても小さくて軽い。

と、ここまではWindows機で行ったがこれ以降はiPadで行う。ドキュメントというアプリで書いて
いるのだがWindows版と違って写真の貼り付け機能が無いようだ。



  と、このようにWindows版では挿入できるのである。両刀使いでないとだめなのだろうか。



  最近はライブ映像が貯まってきたので思い切ってテレビ音声出力をHMA9500IIに直結して聴いて
いる。クリアーでエネルギー感は良くでる。

  スカパーでスティービーワンダー、アースウィンド&ファイアーのライブが無料でやっていたのは
有り難い。



  CDを久しぶりに購入した。

クルターグ、ジェルジュ(1926-)   Signs, Games & Messages: Barbetti(Va)
                     Kafka Fragments: T.arnold(S)Pogossian(Vn)

  この作曲家はいいと思うが曲の難解さは致し方ないか。



映画 不敵な男 (1958)

  野添ひとみ、川口浩主演、新藤兼人脚本の映画。新宿を舞台とした半ぐれ男の刑務所に入ってから
撃たれて入院するまでを描く。社会派ドラマのようでありメロドラマのようでもある。

  主人公が冒頭に殺人と婦女暴行をやっているのでどうも感情移入出来なかった。それでも最後には
良心を見せるわけで全体の完成度は今ひとつと思った。



山田太一 ありふれた奇跡(2009)

  緻密な脚本だ。登場人物は皆美形だしそれが気の利いたセリフを言うのだからそれだけでも引き込
まれる。さて第一回の電車のホームのロケは表情からタイミングまで計算され尽くした絶妙な一品だ。
妻と娘を失った中年男(陣内孝則)がホームから電車に飛び込もうとするのを加奈(仲間由紀恵)
と翔太(加瀬亮)が体当たりして止める。そのあとの警察署でのやり取りには少し意外性があった。
中年男がどうやって生きて行くかというのもテーマだ。ハイヤームのようになるには早過ぎるし
幸福を再構築するには遅いかもしれない。ここはやりたいことをやるしかないと開き直れればいい
のだが。

  加奈のおばあちゃん(八千草薫)が焼酎を飲みながら志ん朝を聴いていたというのはハイヤームが
ここに居た、と感じた。



山田太一 ありふれた奇跡

  教訓のようなことが出てくる。改札で別れた二人だが用があるにもかかわらず翔太が追いかけて行って
彼女のメールアドレスを聞いている。駄目元でもこのくらいの行動力は必要ということだ。案の定少し
警戒されてしまうが、これでメールのやり取りが始まる。これでデートのようなものが始まるが中年男
も駄目元で二人にアプローチしてくる。普通なら警察署でブロックされるはずだが電話番号を聞き出せ
たのだ。虚言癖、粘着質、アル中のこの男とかかわってもろくな事がないはずだが、二人もそれぞれ
ある理由で自殺しようとした過去があり、ある種の親和力のようなものが作用するのである。



映画 熱砂の誓ひ (1940)

  最近、宮脇淳子の真実の満洲史を読んでいるので確認のためにもう一度観た。長谷川一夫、李香蘭
主演の映画だが熱河作戦とは関係ないようだ。北京駅、万里の長城、頤和園の萬寿山の実写が出て
くる。承徳の避暑山荘では無かった。共産匪が出てきて工事のじゃまをするがもうちょっとリアルに
描けないものかと思った。



宮脇淳子 真実の満洲史

  読みやすく、賛成の部分が多いのだが微妙に違うなと思える部分 もある。例えばロシアと中国に
接した満洲の地にアメリカ合衆国のような移民国家は成立不可能なわけで、朝鮮半島から出た段階
でもう間違いなわけだ。ここには黒い利権の暗躍した感触がある。結局敗戦で支配者が変わった
わけだが、入植していた日本人が一掃されたというのも世界史的にもやや異常な感じがする。

  また満鉄や関東軍の上層部の利権を握っていた連中が何をしていたのかが書かれてはいなかった
のでそちらも誰か取材すればいいのになと思う。



宮脇淳子 真実の中国史

  併読してみた。 面白い切り口だと思う。確かに今までの成書だと左翼がかった研究者か中国の
工作員が書いたようなものか多く、なかなか真実が見えてこないのである。毛沢東の捏造した偽歴史
が日本の教科書まで来ているのには少々驚いた。

 今ではネットでも情報が得られるので事実関係についてはかなりマシになっていると思う。だが
そちらの方にも工作員が現れつつあるようだ。


 C2837 / A1186  HCA2 ヘッドホンアンプ



  毎日散歩のとき聴いているがこれはこの世で最高のアンプなのではないかと思える。この音が
スピーカーで出たら仰天して狂喜すると思う(このような音をスピーカーからはまだ聴いたことが
無いのだ)。どんな音かというと、まずFETアンプとは違い音が近くで鳴る。あらゆる音が柔らかく
はっきりと聴こえてくる。低音はボリュームがあり中音は充実しており高音は情報量が多く柔らか
い。
  ワイドレンジでダイナミックでエレガントなのである。

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映画 クライアントリスト (2010)

  ヒロインは前途有望なアメフト選手と結婚しセレブを夢見た美人だが、子供ができてしまい夫は
失業しお金に困ることになるのが導入部だ。

  テキサスの女は聡明で歯切れがいい。テキサスママも出てくる。これも美人だが口うるさいのだ。
再就職した先が実は売春マッサージサロンだったというふうに話が展開して行く。友人を含めみな
いい人ばかりだが、先を読めないというかテキサスの人は猪突猛進なのだろう。

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山田太一 ありふれた 奇跡

  加奈の父親(岸辺一徳)の秘密の趣味は女装だった。娘は大人とはいえ父のこういう性癖を知れば
拒否反応を示すに違いない。翔太の父親(風間杜夫)も偶然同じクラブの常連だった。二人は娘に
ばれないうちに退会しようと画策する。

  加奈の衝撃の告白は自分は子供の産めない体だというものだった。聞かされた翔太は気を使うような
反応を示すのだが加奈の方がもう帰りたいと言って帰ってしまった。加奈の母親は不倫をして鬱病に
なりつつある。

  不倫、鬱病、変態趣味、不妊症と問題噴出である。みんな前向きだが少しずつ病んでいるという
いつものパターンである。解決策はまあないだろうと思う。なるようになるしかないというのは
岸辺のアルバムで出てきた手法である。

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SITパワーアンプ

  ±20V電源で鳴らしてみる。右chの方がアイドリングが多めになる。150mAになってしまう
がしばらく鳴らしていても終段石はほとんど熱を帯びないようだ。

  音は問題なさそう。以前のものよりさらに透明になっている気がする。HENケースバージョン
もこれでやってみる気になった。

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山田太一 ありふれた奇跡

  親は得てして俗物的発想をし、子は変な考えに取り付かれているというケースが多い。でも
田崎家の面々は全然俗物ではない。但し離婚してフラフラしている母親は俗物っぽく描かれ
ている。そこで翔太が子供を作る気はないと宣言する。その時の周りの反応が面白い。

  中城家の方は裕福だが俗物臭たっぷりに描かれる。祖母だけが飄々として脱俗感がある。
親の俗物度が過ぎると、子が反発してどんどん変な方向へ行く場合がある。加奈もそうであ
る。東南アジアで子供を堕ろし不妊の体になってしまった。親の就職の世話を断って管理栄養
士になりメーカーに就職している。

  翔太は前言を訂正しに中城家をアポ無し訪問するが、父親に言葉で叩きのめされる。理由
を言えと言われても言えないのだ。全部加奈が蒔いた種に原因があるのだが翔太もフラフラ
と流されているばかりである。

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徳大寺有恒 間違いだらけのクルマ選び (1976)

  草思社のホームページで電子版が無料で公開されている。確かに私もこれを熟読して
初めての車(初代チェリークーペ)を買ったわけだが、今読んでみるとその車のことが
書いてある。

  これによると初代ゴルフが理想のクルマで、それに近いコンセプトの国産車を選ぶと
するとアコードかチェリーということになる。アルファスッドとシトロエンGSの事も褒めて
あったがこれらはカーグラフィック誌のお勧めの車だ。一に操縦性、二に乗り心地、三に
パワーというのが小林彰太郎氏の考えで私もその受け売りでそう思っていたのである。

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山田太一 ありふれた奇跡

  翔太はブラック企業を鬱病で退職、家業の左官屋を継ぐべく祖父の元で地道に働いている。
年上の職人は出稼ぎで郷里に妻と娘二人がいる。仕事の合間に娘の書いた絵や手紙を見る
ことが働く原動力になっているようだ。それを見た翔太は漠然とだが経済力が許すだけの子供
を持ちたいと思っている。

  若い頃はあくまでも漠然としたものでありどうしても子供を残したいと思うようになるのはもっと
年を取ってからである。それがわかっている加奈は付き合い始める前に翔太にカマをかけて本音
を聞き出す。翔太は3人ぐらいなら持ちたいと正直に話す。そのあとで自分は子供が産めない体
だと告白した。

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山田太一 ありふれた奇跡

 その後周りを巻き込んでこのゴタゴタがほぼ終わりまで続く。この問題には結局解決策などない。
翔太にとってヘビの生殺し状態が続き最終回の前にいよいよホテルに行こうとしたその時、捨て子
が降ってくる。半日預かって母親が帰ってきた。

  ホテルで迎えた次の朝、若い二人は朝日を見ながら会話する。疲れて眠った加奈を起こさずソ
ファで寝た翔太はまだ生殺しのままだったのである。

  最後に両家一堂がレストランに集合して祖父が一席ぶつ。人間の本性を洞察している祖父は
二人の結婚、職人一家の同居に関して否定的に思っているがここは鉾を収めるという。これでとり
あえず話は続く。

 ドラマはここで終わるがあたかも全部解決したかのような未来が示唆される。職人一家が同居し、
おそらくその後養子縁組をして家業も継承してゆく。加奈と翔太は憂いなく夫婦二人で生きてゆく。
中年男は捨て子の母と再婚し妻と娘を一瞬にして得る。これだとちょっとミラクルっぽい。


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まとめ

  どこがありふれた奇跡だったのだろう。視聴前に期待していたほどのあっと驚くような事象は
出てこなかったような気がする。まさかぱっとしない翔太が絶世の美女の加奈と結婚する方向に
進んだことがそうなのか。いや二人は必ずしも相性ぴったりではない。お互い知れば知るほど
幻想は消えてゆくと劇中でも言っている。

  中年男が元あったような幸せに戻ったとしてもそれは奇跡的だけどありふれていない。俗物で
ないもの同士が何かの縁で知り合うようになるというのは神の配剤のような感じもするが、その
へんのことかもしれない。

(つづく)