2015年の音楽生活5

  完全アンプをこのように書くと微妙に対称性がある。


   古い完全アンプを出してFE103solで聴いてみると今のシステムと質感は同等だが抜けるような
さわやかさと広い音場感が乏しかった。HCAアンプが出来てしまうと必要性が無くなったかもしれない。


映画 逆噴射家族 (1984)

サラリーマンの家庭が郊外に一戸建てを買う。家族は大喜びし主人は家族のために奮闘を
誓うが祖父の同居、白蟻の発生から一家の運命が狂い始める。と言っても狂っているのは
主人(小林克也)だけで強迫神経症らしい。ダイニングルームの床を剥がして地下室を掘り
始めるのである。だがそこは普通鉄筋コンクリートの基礎があるので掘るのは無理な気が
する。思いついたら相談もなく始めてしまうのも良くないだろう。

家がある程度壊れたところで主人公は一家心中しようとする。気が付いた家族はそれぞれ
武装して戦いを始めるのだが本当のサイコホラーと違い漫画のような展開になる。原作者は
小林よしのりなので不条理ギャグが爆発するかと思ったがそれほどでも無かったと思う。


世界ウルルン滞在記 シベリア編 (2001)

18歳の小栗旬がバイカル湖畔の村にホームステイする。夏は普通に住めるところだが冬は
マイナス40度の世界になる。例によって水と燃料を準備して冬を越すのだがここではバイカル
湖に注ぐ川から冬でも水が取れる。豚の塩漬けが保存食だが氷に穴を開けて漁をすると生鮮
食料品も手に入る。カモシカを撃って肉レバー炒めを食べることもある。貂を罠にかけて毛皮
を売ると現金収入になる。こういうやり方を守って行けばシベリアのような極地でも生きて行
けるのだ。漁のために1日5時間戸外で労働し翌日獲れる魚が20匹という世界だ。小栗旬は顔
には出さないけど絶望を感じていると思った。


岡田英弘 世界史の誕生 (1992)

正史の歴史観をよく理解しなければならない。中国の歴代皇帝が編纂させたのが司馬遷の
史記をはじめとする中国の正史でありその目的は権力者の正当性を担保する為にある。なので
随分捏造がある訳である。この伝で行くと日本の古事記もそうなのであるから事実を抽出する
には何か工夫が要る。一方ヨーロッパいわゆる西洋文明ではヘロドトスのヒストリアと云う
ペルシャ戦争を書いた物の他色々とあるようだ。なので両者を対立させる本書の論点はやや
強引とも言える。

中国文明と地中海文明だけに歴史という文化がありその他は派生でありモンゴル帝国の誕生
により世界史が生まれたと云う主張は卓見だがモンゴルが無くても世界史は有ったと考える人
も多いわけでこの主張は字義通りに取らない方がいいと思う。

漢人が内戦で5百万人まで激減し北方民族に取って代わられた時代が五胡十六国、隋、唐で
あるという。中国史では都合の悪いことは徹底して隠されているので実情を発掘してゆく作業
が求められる。それをやってくれているのが本書だ。


  上條氏のクロスシャント電圧増幅段を調べているとHCA回路(カットオフしないB級動作)になっていることが
判明した。差動アンプや新金田式のようなA級動作ではないのだ。これは僕にとっては驚天動地の出来事だ。
全く新しいアンプがそのうちに誕生しそうである。





  HCAアンプ三部作で試してみた。容易に作れた。アイドリングも安定している。音は
幽玄とも言えるレベルに達している。




映画 NY式ハッピーセラピー (2003)

本気なのか冗談なのかわからない様なセラピーをして主人公を導くのがジャックニコルソン
演じるDrバディ。鬼気迫るような存在感がある。バディの指示によっていろんな結果が導かれ
て話が進行してゆくがどれも納得がいくような仕掛けがしてある。だから外したら危険なの
だが主人公は怒ったり納得したりしながら最後のヤンキースタジアムでのプロポーズ場面まで
進む。疑心暗鬼になった主人公だがハッピーエンドを迎えてセラピーは終了する。怒りが頂点
に達した時に逃れる手立てがいくつか出てくるので参考にしよう。


映画 さよなら渓谷 (2013)

吉田修一の同名小説の映画化作品。小説は図書館で借りて読んだことがある。地味な
週刊誌の記者が隠遁して暮らしていた元野球部員尾崎の過去を暴くことになる。陰鬱な過去と
暗い現在の生活が提示され徐々に破局に向かうという話である。男の理想とするものが
破れた場合のケーススタディになっている。怪我をしてラグビーを断念した記者の方は妻
(鶴田真由)になじられ、一方レイプ事件を起こし野球を断念した尾崎は窮地に追い込まれて
ゆく。尾崎の隣に住む女が殺人罪で逮捕された後警察の手が彼にも及ぶが一体どんな罪で
拘留されたのか疑問だ。殺人教唆として尾崎を起訴するつもりらしいが逮捕状もなく現行犯
でもないのにこれは可能なのか。

映画では時系列が過去に飛ぶがやや分かりにくい。怒りをあらわにしている女はレイプ事件
の被害者であり尾崎の内縁の妻なのだが、付きまとって謝罪し続ける尾崎を拒絶する。結局
二人は一緒になるのだがこういうのは余り聞いたことがない。PTSDの人がこれでなんとか
なるとは思えないし当人もよくわかってはいないのだ。最後に理由が明かされるが二人で
不幸になるためにそうしたのらしい。

この映画でもだいたいセオリー通り、男は理想とするものを堕ちた後も見続けるが女は足元
しか見ないのがよくわかる。

内縁の妻の役がキュートな真木よう子だったので小説では無かった余韻が残る映画だ。


映画 白ゆき姫殺人事件 (2014)

女同士の確執が殺人事件に発展する。作者は女性なので戦い方は本物だ。美人OLの三木
典子、地味な城野美姫、情報屋の満島栄美、不細工な新人OL狩野里沙子が登場する。ターゲッ
トになる男子社員もいる。まず三木典子が惨殺死体で発見される。状況証拠を元に城野美姫が
犯人だと主張するのが狩野里沙子。彼女の元カレのテレビディレクターが事件の取材を始め
る。ツイッターでリアルタイムに情報がアップされる。ギャラリーの盛り上がり方が電車男の
ようだ。ミヤネ屋のような情報バラエティ番組でSが容疑者として報道される。とうとう実名も
ツイートされ彼女の悪口がネット上に渦巻いてくる。予断を持って取材するとどんどんSが犯人
だという証言が出てくる。女性の性格設定はベタなものだが男性の方は誇張があるような気も
する。結局真相はちょっと陰謀めいたことに加担した城野美姫が嵌められたという事だった。
冤罪になる前に事件は解決した。


映画 セイジ ー陸の魚ー (2012)

シンプルな音楽と静謐な映像美。出てくる人物も一風変わっている。就職が決まった大学4年
の男が田舎道で事故に遭う。連れて行かれたところはさびれたようなパブだった。男はその日
から店員として働くことになる。オーナーはまだ若い女性で風来坊のようなセイジという男が
雇われ店長のようだ。その夜常連客が来て騒いでゆくが俗物の感じはしない。だが俗物から
一番遠い人物がセイジだった。人間社会が嫌いなら辺境で自然と向き合って生きるしかない。
セイジが時々居なくなるのはどうもそういうことらしい。両親を殺され腕も失った少女が心を
閉ざし周りが何も出来ないでいるときに少女の前で斧で自分の腕を切り落として見せた。
まるで仏教の説話みたいだが時間が少女の心を癒してくれていただろうとも思うのである。


NHK BS ワールドプレミアムライブ ポールマッカートニー

アルバムも数枚リリースしプラチナディスクも獲得、ワールドツアーも成功させタイム誌の
表紙も飾るという成功を収めたウィングズの様子がよくわかるビデオだ。デニーレインの
ゴーナウというソロが見れたがジョンのような声とわし鼻からポールと相性が良かったのだな
と想像した。バンドには付き物のツアーだがリンダを同行させる為にメンバーに加えているの
はポールのアイデアだと思うがストレスがあったのだと思う。リンダの方が先に亡くなって
いる。楽曲のクレジットにリンダが入っているのは老後を考えてのことだろうがうまくいか
ないものだ。最後に2012年の作品のPVがあったがスタンダードナンバー的な曲だった。これは
大したことはなかったがポールにはスタンダードナンバーの名曲を作って欲しいものだ。


映画 クヒオ大佐 (2009)

結婚詐欺師のクヒオ大佐は北海道の貧しい家庭の生まれだが米国海軍のパイロットとして
女性にアプローチする。信用させては結婚をエサにお金を引き出すのだが美人の経営者、
銀座のナンバーワンホステス、自然観察館の職員と次々に手を出して結局全部地雷だったと
いう話。この話の前にはいくつか成功させていたのかもしれないがクヒオ大佐はしょぼい
アパート生活で高級車も持っていなかったので良心的な結婚詐欺師なのかもしれない。結局
警察に現行犯逮捕されるが誰も不幸にしていないので後味の悪くない映画だった。


映画 惑星のかけら (2011)

渋谷の空き地に突如として登場した訳ありの少女が宿無しギャルのような行動をとるが
しっくりいかない。今度はストーカーの男について回るのだがこの男もストーカーのような
取り巻きのようなはっきりしない感じだ。男は持病がありとうとう街中で倒れるが少女に介抱
される。終わりまで見ると最後はポルノになっていた。不条理が顔を出しそうで全く出てこな
いのは女性監督の特質だろうか。


NHK特集 行〜比叡山 千日回峰   (1979)

延暦寺長寿院住職の酒井雄哉師が厳しい千日回峰行を行う。失敗したら死ねという不文律があ
る。それを追ったドキュメンタリー。山道を歩いている間は過去のことが頭を巡るがだんだん
考えなくなってくるという。米は食べずうどん、ジャガイモ、豆腐という食事を摂り9日間の
断食に備える。京都切り廻りの時の映像も出てくる。40kmを歩きながら信者の頭に触れ
マントラを唱える。700日でいよいよ堂入りを行う。夜中の水汲みの映像が出てくるがどんど
ん体力が落ちてくる様子が見て取れる。堂内の映像も出てきた。5日目体に異変が。飲まず食
わずということは脱水が心配だ。周りの僧が注意深く見守っている。最後の水汲みには信者
たちも見守りに来ていた。酒井師は堂入りを終え阿闍梨になる。石段を降りるときは僧侶たち
に担がれていた。後300日位歩いて行は完成する。雪の道を元気に歩く酒井師を映して番組は
終わった。

「 行者は修行している間に時間切れになる。」「どんなドグマでもそれがドグマなら信じて
生きるのは止めよう。」というのが私の考えだ。検証するのにはこの番組は好適だ。

行自体は一つのドグマだがこの場合は権威付けがされている。そのため酒井師は時間を費や
したが僧としての位が上がった。でも結局変わったのはそれだけのことだろうと思う。本人が
後日述懷してくれれば確実になるのだが。


   この回ではものすごく重要なアンプができてしまった。それがこれである。



   音がはっきりくっきりしてしかも柔らかい。J18SITアンプのほうはナチュラルな音だが情報量では
これに及ばない感じだ。優秀録音盤を聴いてゆくとこちらのほうに軍配が上がる。FE103SOLの
バスレフとこのアンプで長岡A級外盤を聴いてゆくことにした。

(つづく)