エスニック風A級 パワーアンプ

YouTubeで見掛けるマレーシアの刻印があるトランジスタで作ったオーディオアンプの製作を見ているとこれは
何だろうという興味が湧いた。同じ様な動画が次から次へと出てくるのである。

言葉はわからないし回路図も一切ないので理解するのに繰り返し見る必要があったが、こういうものであることが
判明した。



パワートランジスタ一石のA級シングルアンプだがスピーカーに直流がそのまま流れるという特徴がある。スピーカーの
許容入力以下ならいいだろうという発想である。

抵抗一本によるバイアスなのでここにはCB帰還をかけることができる。シミュレータで確認した。





又、スピーカーに流れる直流に対してはクロスシャント電流源を加えるとキャンセルできる。これもシミュレータで確認した。





参考

CSPPにするにはこの様にする。





  製作してみる。



独自の回路で石は東芝のC5200、A1943を使う。



一応選別したがこのくらいかけ離れている。



アイドリング電流をトリマーを使って調整する。




中点電位は安定している。



アンプが完成した。



出力が0.6Wしか取れていないので、シミュレーターでも確認すると0.8Wしか出ないということがわかった。するとあながち失敗でも
無いようだ。






違う回路を試してみる。




サンケンの石を用いる。hFEが同じものを用意した。リプルフィルターも装備している。




空中配線の仕方を変えた。





アイドリングが同じになっている。






アンプができたが中点電位がだんだんずれてくる。





シミュレーターではこうなった。このアンプも1W行けば合格レベルである。





ノイズフロアは完全アンプの実機のデータを借用している。



結局この回路と定数で作ることにした。中点電位が安定している。







中点電位5.25V、アイドリング88mAとなった。安定度は良いので、あとはアイドリングを増やして測定してみる。AB級アンプなのでこれでも良いかもしれない。






アイドリングを増やして測定した。

 

この位流しても測定中に放熱器は熱くならなかった。






ミニワッター並みの出力である。これで両ch作ってステレオで聴いてみる。

参考 シミュレータ






ステレオアンプにして完成させる。








一日エージングしてからメインシステムに組み込んだ。



  まろやかで透明感のあるいい音だ。そういう音の中にもトリオのKA−7300Dの音が聴こえた。バイポーラ属の特徴がやはりある。