3 電流正帰還によるMFBの原理


 電流正帰還は拡張された電磁制動であるといえます。(基本的には電磁制動を強める働きがあります。)



  このような回路で電圧、電流を検出して波形を観察します。


  電圧の4波目が終わったあとも電流が流れていますが、これはスピーカーの起電力による電流が流れ
ているのです。





   4波が終わったあとの電流と速度の波形を良く見ると方向が逆になっています。このことは電流信号を
反転して負帰還してやれば、速度負帰還になることを示唆しています。

  実際にはブリッジで適当な電圧信号を引き算したものを正帰還するか、電流正帰還のみとするかですが
どちらでも大丈夫です。

  つまり電圧がゼロになったとき(電圧4波が終わったとき)、速度特性が見えてくるということです。このこと
はあとでまた利用します。


K1529電流正帰還アンプ

 100Hz4波バースト


  電圧出力アンプでは電圧波形はあくまでも入力波形に忠実でしたが、この場合は
第一波目で電圧が大きめにでています。さらにボイスコイルの余計な振動を止めるような
電圧も発生しています。



  速度波形とくらべてみるとよくわかります。 



参考

  ここではあまり触れませんが、検出コイル式速度型MFBの場合を見ておきましょう。






  さらに強力に制御されているようすがわかります。


 検出コイル式MFBも電流正帰還もどちらも速度型MFBですが、その性格には
若干の相違があるのでまとめてきます。


検出コイル式MFBと電流正帰還の違うところ

  検出コイル式MFB

  1 速度帰還がかかる

  2 アンプの出力インピーダンスはそのまま

  3 MFBがかかることによって電磁制動量も減少する

  4 ボイスコイルインダクタンスによる高域の影響はそのまま

  5 電流歪みの悪化はない


  電流正帰還

  1 速度帰還がかかる

  2 見かけ上アンプのインピーダンスが下がる

  3 電流正帰還がかかると電磁制動が増したように見える

  4 ボイスコイルインダクタンスによる高域低下はさらに悪化する

  5 電流歪みが増える



  このことを理解するにはダイヤグラムを見ればほぼ一目瞭然となります。