ディスクリートパワーモジュールで遊ぶ



  今度の新アンプはモールド型の石で作ろうと考えました。


  何故なら準備したシャーシがこんなのだからです(放熱器なし)。





  使えそうな石各種



  暫し考えた後、K1056にしようと思いました。


  ローパスフィルター、Zobel、セパレータ標準装備としました。



  石はスペーサーを兼ねて基板の裏に配置しました。7端子パワーモジュールです。




  音質については全く考えていないので、とても気が楽です。



 設計編


  最初に考えた回路

































  新装備の効果を見てみます。











 10MHzパルス信号






  TIM歪み関連

   緑 正相入力
   黄 反転入力


  出力電圧


  以下同様





  このように高速アンプが鈍速アンプに変身しますが、聴感上はどうでしょうか。




  基板は熱に弱いので、基板と石の間にスペーサーをいれました。バイアスは0.4Vくらいにしぼって発熱を極力
抑えました。0.6V以下にするにはゲルマのマルチプライヤーという手法がありますが、ここは抵抗一本で済ませま
した。





 入力が10Kになっていますが、単に間違えたのをそのままにしているだけです。fcは500kHzに下がります。

 ??Pの積分Cは50Pにしておきます。

  音楽を鳴らしていても発熱は全くないようです。

  音はまだなんとも言えませんが、HMA9500IIのようでもあるし、すこし癖が感じられるようでもあるしという
ところです。余韻(間接音)はたっぷりあるようで、たぶんパワーICとはこのへんが違うでしょう。



大発振の様子

  基板完成後電源をONし出力電圧を見ると、0V近辺を指している。大丈夫かと思っていると、
基板から煙が。どこからか調べると熱いのはパワートランジスタ。

  短時間通電でバイアス電圧を見ると0.6V。ドレイン電圧、ソース電圧も正常、オフセットも調整
可能、となると、終段石か。抵抗を挿入してドレイン電流をみると560mA。

  終段石を違うのに交換して、バイアスを0.4Vにしてもやはり熱く、560mA.。

  これはオフセット調整可能、アイドリング調整不可能というケースで原因はやはり発振か。 

  ラジオをAMにして側に置き、電源オンし、雑音を確認。出力にACがでるのも確認。

  積分Cが小さすぎるので適当な大きさにする。症状はすべて解消。音だし成功。

  あとはクロスオーバー歪みがあるかどうかが心配である。

 教訓
  私のようにオシロがない場合、通電テストは、出力電圧、アイドリング電流、輻射雑音の3つを見ながら
  すべきである。

   それでも配線間違いの場合は石が飛ぶので、電流リミッターつき電源も作るべきか?


  横から見た図



  フランジはソース端子なので絶縁板を介してシャーシに取り付ける。


  完成








  音のことを全く考えずに作ったアンプがこんなに良い音がするとは。

  きっとメーカーが音だけのことを考えて作れば同じ結果が得られるでしょう。



   この項のタイトルが遊ぶとあるのは、部品交換していじり倒そうというもくろみがあったから
です。

  パワートランジスタのダイレクトカップル構造は、音の透明さ、高解像度、歪みのなさに寄与
しているようです。非常に好都合です。


  以下部品を交換しながら音だしをしてみる記録

   スピーカー  FE103Eペリスコープ(左右で若干の音質差あり)

右CH 左CH     音     
スチコン1600P
進相補正あり
ディップマイカ50P

進相補正なし

左のほうがきつい音がしている。右は柔らかく奥深い感じの音。左のほうでは不満。
  スチコン1600Pに変更 ほぼ同じ音になる。右の方が若干きつめの音なのは、スピーカーの差か。
  33Pセラミックに変更 セラミックの場合は、おそらく音は歪むがかっこよく歪むので、聴いていてつらいことはない。

その点ディップマイカはきついだけ。藤岡誠はKA7300Dを音を堅めにして全部出すと評し

たが、おそらくセラミックCの特質だったのだろう。

33Pセラミックに変更

進相補正はずす

  これで一人前のステレオアンプとなったので、長期にわたり絶対評価を行う。

その間に追加コンデンサーを注文しておく。

MOSアンプにはSEコンか銅箔スチコンを入れることが多かったため、この音はあまり例が

ない新感覚の音。ダイレクトカップルアンプは電磁制動アンプの中でも制動のかかりかたは

最強クラス。

  左より

100Pポリプロピレン(50円)

30Pディップマイカ(260円)

51Pスチコン(70円)


 今回仕入れたコンデンサー

  100Pポリプロピレン セラミックと比べて同じくらい細かい音が出ている。差が少ない。セラミックがいやな音を
だすときは、同じように出している。歪みは少なそう。

  そのため高音楽器の部分で信じられないほどきれいな音を出している。

  この2つを比べると、セラミックが独自の余韻をだしているのがよくわかる。それは一種

麻薬のような効果をもたらす。

30Pディップマイカ   違う銘柄でもう一回確認。

結果発振。
51Pスチコン   ポリプロピレンと差は少ない。同じように鳴る。気のせいかスチロール樹脂の響きが感じられる。

ポリプロピレンの良さは引き続き感じられる。音が重なったときににごらない(ポリプロピレン)。
 スチロールはわずかに分解能が悪い感じ。
  

100Pポリプロピレン   これでひとまず終了