TRIO KA7300Dを復元する

  目標
      メンテ可能なパワーアンプとして復元し音を楽しむ。



KA7300Dの音を形造っているのは、終段サンケンの三重拡散の石と
初段NECのdual FETだろうと思う。他のトランジスタは左程影響はない
はずである。

  25年を経て生き延びたパワーアンプ基板




 それではKA7300Dは目覚しいDCアンプの音がしたかといえば、
そうではない。高域は金属的に散乱するでもなく、チャリという音は控
えめなセラミック的な音であった。低音は電磁制動の強いアンプらしく、
出なかった。

  基板の分析


 プリメインアンプの音は、プリ部にも支配を受けるためこのアンプが本領を
発揮したのはメインアンプ部を取り出し、リレーとボリュームをジャンプしCD
プレーヤー直結にしたときである。

 このアンプはコスト高になる為かモデルチェンジされKA8300となり、最終的
にハイスピードなKA5010へと進化したのである。

  復元した回路


  リレー回路、保護回路は削除しました。


  位相補正




  位相補正なし






  なんでだろう。位相が進むのは。


  位相補正あり










  オープンループ 位相




  入力信号  10kHz 方形波
 

 位相補正なし


  位相補正後



  ドライバー段まで組みあがりました。

  最終回路定数


  バイアス回路を単純化し、小信号トランジスタを若干変更しました。ドライバーのエミッタ抵抗は
焼損していたので交換しました。Cはすべてセラミックコンです。不思議なことにパスコンが見つかり
ませんでした。基板スペースの関係で出力のZobelなどは割愛しました(残念)。

  これで自力メンテナンス可能な状態になりました。サンケンの石は若松通商でいまだに入手可能
なので、この音を大事にしたい場合は保守可能です。初段が破損した場合は特性の近いK30ATMで
いいかと思います。

  三段直結アンプらしく絶対発振するようです。位相補正なしでは調整は可能ですが、信号入力でDC
24Vが出ます。回路図のとおりに位相補正をいれるとすんなり動きました。




  無信号入力


  一見してノイズがひどいようですが、仕上がりゲインが大きいためなので
大丈夫です。

  音楽入力


  余裕はとれています。

  音は結構パワフルで素晴らしいです。豪快なプリとしていけるかも。

            都合により±27Vで測定



  サンケンC1116 A747



  隣はバイポーラパワーディバイスの最高峰C2921、A1215



  筐体はやや大きめのものを設計しました。










  横幅260mmで切ってしまったので少々寸足らずですが、放熱効果はこのほうが良いです。






 
   基板確認用写真



  このまますんなりと動作。アイドリングは50mAに設定。動作確認後C2089を接着。放熱器につけるよりシャープに
制御される。






  結局Vx0.68μを投入。




  内部配線もまとめることにした。




  この電源部のトランスはヤマハA−5からとったものなので電圧はやや低いが、自照型SWの電源を装備
している。そのスイッチはヤマハA−5からとったもの。C2921、A1215はKA5010からとったものではなく
最近買ったもの。




  音の確認

  これがKA7300Dの極限の音だと思う。デバイスと回路の特徴がはっきりでている。3段差動アンプで
たっぷり稼いだ低域でのゲインによる深いNFBでもたらされる制動感のあるパワフルな低域、華々しくは
ないが芯のはっきりしたナチュラルな余韻の高域、セラミックコンデンサーによる若干の色づけ、こういった
ものがオリジナルのKA7300Dでも感じられたこのアンプの本質であると思う。

  これで聴くジャズやポピュラー音楽は十分に楽しめるものである。

  技法的にはエピタキシャルの石を終段に採用したり、オープンゲインを少なくしたり、銅箔スチコンなど
の部品を使うことにより、違った感覚のアンプを作ることはできるが、このアンプにVxコンを投入したり、
電解コンデンサーの容量を大きくしたりしてもその本質は変わらないのである。



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