仮想オペアンプシリーズ特別編



  今回は新規に入手したオペアンプの音を聴いてみようと思います。

(1)μPC822C(NEC)

   高音きめが細かく繊細でいままでの観念をくつがえすような音。FET入力の性格が現われている。

(2)LF353H (ナショナルセミコンダクター)

  同じくFET入力ですっきりさわやかな音。メタルキャンの良さが出ているかもしれない。

(3)NJM2114DD(JRC)

  高域が華麗な音に変身する。バイポーラ初段の特徴はディスクリートの時はそれほど感じなかったが、
オペアンプではよくわかる。海外製品に初段バイポーラが多いのはこの音調を狙ったものか。
±22V

(4)NJM4580(JRC)

  オペアンプでは定位はあいまいになる。主にスピーカーのあたりににぎやかに定位し、モノラル成分が
中央にぽっかり定位する。

  ディスクリートの直線系のアンプでは、スピーカーの間にわりとまんべんなく定位し、ODNF系では音像が林立する。

  ですからどのオペアンプを聴いても定位は曖昧です。

(5)CXA4559(SONY)

  高域が濡れたようになる。面白い効果である。

   


  ちなみにNo.6のK30A+CXA4559を聴いてみましたが、さらに華麗なシズル感を伴うような
高域でした。

  ICのあとに聴くと、楽器が左右に広がります。情報量も増大し音も華麗で、FETとバイポーラの
良いとこを兼ね備えたような音です。すべてのICの上をゆくかとも思えましたが、OPA2604の
まとまりの良さも捨てがたいと思いました。


(6)OPA2604(バーブラウン)

  これは奥行き感もあり、繊細で音がきれいに感じる。オペアンプの中では最高クラス。
 しかも回路を見ると、フォールデッドカスコードである。
  ±24V

(7)NE5532N(フィリップス)

  音があちらこちらから聴こえるので空間分解能が高い。きれいに鳴るが細かい音の出方はFET入力ほど
ではない。

(8)MC33078P(モトローラ)

  7よりやや派手になる。音が前に出てくる感じ。

(9)TL072CP(テキサスインスツルメンツ)

  これはFET入力。BGM的に聴いているだけだが、強調感が無いという印象。

(10)NJM4560DD(JRC)

  安心して聴ける音。バランスも良い。

(11)NJM5532DD(JRC)

  高域クールでさわやか。バイポーラプロセスの傑作。
  ±22V



  7,8,9は電源にノイズが乗っていると音が荒れやすいようです。夜聴くと安定しているようです。


  オペアンプを聴くとだいたい4つに別れ、どのグループに入るかは一聴すればわかります。

  1 繊細で分解能が良い、FET入力タイプ。

  2 さらに音が綺麗な、高級FETタイプ。

  3 バランスがよく、安定し高域華麗なバイポーラタイプ。

  4 位相余裕のとれてなさそうな、逆切れタイプ。


  設計をもっと詰めれば4が3に来ると考えられますが、だいたいこれくらいわかれば良いでしょう。


  ずっと聴いていると、精密感がありバランスも良いと思える状況が生じますが、その場合直ちに
ディスクリートオールFETにつなぎ替えると全く違うので安心します。

  これと較べれば、ICの方は間口が狭く、強調感があることがわかります。

  電流の流し方も違いますし。


  この世界は、モノリシックICよりもレベルが高いと感じます。要するに簡単に言えば、

  ディスクリートパワーモジュール > IC+パワーTR > モノリシック

  というふうになり、厚膜ハイブリッドは微妙な位置にありますが設計が古いのでということになるでしょうか。




  と想像でごちゃごちゃ言っても意味が無いので、作ることにしました(近日中)。


  実はいままでFF125Kで試聴を行っていましたが、FE103Mに替えてみました。

  FF125Kは、ふつうの世の中の音に近い、上から下まで堂々としたものですが、FE103Mは
どうもピリッとしないし、低音があやふやになっています。

  それでも2日目くらいからどんどん透明感が増してきます。大きめの音を出していると、ヘッドルーム
でやはり歪んでいて、同時に鳴っている小音量楽器は透明です。ボリュームを下げるといやな音が無くなる
のでわかります。これはFE103を低歪みアンプで鳴らしたときの宿命といえるでしょう。

  で、完全アンプにしてみると見事に復活しました。金属的な輝きと低音のボディ、これはアンプがFE103
の限界の前にソフトクリップしてくれるからです。ホルンのとけるような音は、帰還前の低歪みを物語っていま
す。



  続き
(12)μA741

  清楚で奥行きがあり、オペアンプの中では際立っている。電源を落としてオールFETを聴いて比べると、
超えてはいないもののいい感じだ。

  これは一回路なので特殊な接続法が必要。

  これは30pの位相補正Cを内蔵した、このなかで唯一のワイドラー式。







(13)LF412CN(ナショナルセミコンダクター)

  音が繊細で、風が吹くような感じもある。この後にバイポーラを聴くとその違いはよくわかる。

(14)LF13741H(ナショナルセミコンダクター)

 一回路入り。発振。
  
(15)NE5534AP(テキサスインスツルメンツ)

  一回路入り。ok.。


(16)TL080C(テキサスインスツルメンツ)

  一回路入り。発振。


  かなり収穫がありました。

  今後は1回路入りのオペアンプでハイブリッドパワーモジュールを作ってみようと思います。