MCカートリッジの部屋

  メジャーな疑問の一つに、もしMC−L1000が針の消耗などで使えなくなったら、
私は何を買えばいいのか?という疑問があるので解明しておく。

     Audiotechnica AT-F3II   

     DENON     DL-103

     Audiotechnica  AT−33LTD

     Victor      MC-L1000  

  直接比較により、これらの音の特徴というかレベルをよく知り、まあまあ満足できる
機種を特定するのである。

  方法は、あるLPをトラック別に違うカートリッジで再生し、CD−Rに焼くのである。
それをカーステレオで事有るごとに聴き、徐々に結論を得るのである。

  
  機器
    プレーヤー : ケンウッド KP−9010
    プリアンプ  : DENON  PRA2000
    ADコンバーター : SOUND BLASTOR
    記録メディア : HD
    ライター  : Plextor CD-R PX-R412C
    記録メディア : 三菱化学




  ブラインドテストではなく、一応順番どおりに再生するのでどのカートリッジで
あるかは、考えればわかるようになっている。

  まずオープンテストで識別ポイントを多く仕入れておかなければ、ブラインド
テストで当てることはとても不可能である。

  識別ポイントを分りやすいものから、列挙してみる。

  1 AT−F3II の高域はMC−L1000に似ているが、低域は明らかに貧弱で
    明瞭さに欠ける。

  2 AT−33の高音はAT−F3IIと似た傾向のものだが、若干厚みがある。

  3 DL−103の高域は、落ちこんで躍動感に乏しい気の抜けたサイダー
    のような音だが、もっと高いところにアクセントがありそれを補っている。

  4 MC−L1000の高域は、贅肉がない絞りに絞った音でその中にハイライト
    があり、しかも音が綺麗。

  5 MC−L1000の低域は明確でパワフル。



  トラックナンバーを見ず、ぼんやり聴いていて、これは何だろうと考えていく
と、意外と間違って聴いているものである。

  MC−L1000を聴いた直後か直前に聴かないとなかなか識別は難しいと思う。

 どれを買うかはだいたい決まったが、それを書くのは差し控えよう。



  その後すべてのトラックをMC−L1000にしたものとの識別をしなくてはいけない
状況になった。アイワのCDプレーヤー、ビクターのヘッドホンで試みた。

  1曲目では、AT−F3IIIと思われるほうは意外とこってりしており、MC−L1000と
思われるほうは、口どけさわやかという感じを得た。

  3曲目。DL−103か、MC−L1000か迷う。ヘッドホンでは、躍動感については
それほどわからないような気がする。そういう場合は前頭葉でなく扁桃体でこれが好
きか?で判断するしかない。もし、OKなら排除する理由がないので識別が無意味に
なるのだ。幸せが訪れる瞬間である。

  うん。ヘッドホンで聴く限り好きな音である。

  逆にヘッドホンで聴くと、デンオンとオーディオテクニカの違いが顕著になる。オーデ
ィオテクニカのほうは音が迫りすぎなのである。



  暫定的には決まったが、どうも確信が持てない。そこで思いついたのは元のWAV
ファイルと視覚的に比べてみることである。

MC−L1000


AT−F3II


  このように開始時間と音量に違いがある。なぜかトラックからWAVを吸い出す
ことができなかったので、音量で判断した。このくらいならば続けて聴けば直ちに
わかる。

  MC−L1000の方でも曲の中間で音がきついと思われるところを聴いて
MC−L1000かと問われればやはり全然確信がもてない。

  音の疎であるところ、余韻の聴き取れるところでなんとか判断しているのかも
しれない。


波形とスペクトルを見てみた。






  これで見るとAT33LTDだけがギザギザが若干立っている。






  レベルの違いが有るが、MC−L1000のみが低域が静か、位相の
あばれが少ないということが言えるかもしれない。


  確かめておくべき事柄として、クラシックの再生ではDL103はなかなかいい
のではないか?という疑問があるので手掛けてみる。

方法

  LP 「ストラビンスキーの歴史」のA面をMC-L1000で、B面をDL103で再生し、
1枚のCD−Rに焼く。

  これで長い期間をかけて確かめてゆくのである。

  いまのところ結論としては、クラシックに使う限り何の不満もない。


  もうひとつ、MC−L1000によるレコード再生は、CD再生に対しどのくらいのアドバ
ンテッジがあるのか?というメジャーな疑問が有る。

  はるかかなた上にあるということはありえないが、実感としてどのくらいかというのを
把握しておこうと思う。

  方法

    LPを用意し、MC−L1000で片面を再生、もう片面はCDからWAVデータをとり
だして一枚のCD−Rを作成する。

  こと有るごとにそれを聴き、徐々に結論を得る。

  これは素直に、

    XRCD > CD > MC−L1000

 という感じがしたが、だんだんそうでもないかもという気がしてくる。







  これがスペクトルである。時間は1/100秒単位で 精密に合わせてある。
だから低域では形がぴったりである。高域スペクトルを合わせるには分解能
が足りないかもしれない。

  高域の落ち方はこれでもわかるとおりCDの方が早い。



  或るときはいいと思い、或るときは不満に思うというのがCDの特徴であろうか。